“土地がない”は思い込み?|新潟での福祉施設づくりから学ぶ発想の転換
「新潟で福祉施設を建てたい」その第一歩でつまずく理由

福祉施設の開設を検討する際、最も大きなハードルになるのが“土地探し”です。
「市街地の土地は高すぎる」「郊外は広いけれど、建築制限がある」「良い土地が見つかっても、地主が売ってくれない」
こうした現実的な問題は、多くの福祉事業者が共通して抱える悩みです。とくに、新潟のように地域ごとの地形や用途地域の制限が細かいエリアでは、思うように条件が合わず、結局は「土地が見つからないから計画を先送りにする」という選択に陥ってしまうこともあるでしょう。
しかし、本当に“土地がない”のでしょうか?
実は、視点を変えれば、まだ活かされていない土地は多く存在しています。
たとえば、かつての工場跡地や資材置き場、あるいは市街化調整区域など、一見使えないと思われる土地こそ、地域課題の解決や社会的意義を持つ事業によって再生できる可能性があります。
つまり、土地探しは“条件に合う場所を探す作業”ではなく、“どんな場所でも価値を見いだす発想”へと切り替えることが重要なのです。
市街化調整区域で実現した「ケアファーム」
土地の制約を理由に施設建設を諦めるケースは少なくありません。
しかし、実際には「規制のある土地」でも、地域との関係性を重視することで活用できる場合があります。
その象徴的な事例が、「みんなの介護AWARD2023」で甲信越部門第1位を受賞した『ココファンガーデン新潟亀田』です。
ココファンガーデン新潟亀田
本施設は、高齢者施設を運営する「学研ココファン」と、新潟での福祉施設建設に精通した「イワコンハウス新潟」がタッグを組み建設した、庭園と農園を併設した高齢者施設”ケアファーム”です。
もともと資材置き場として使われていた土地を転用して誕生しました。場所は、通常建築が難しいとされる市街化調整区域内。
それでも実現できた背景には、土地を「地域に還元できる、唯一無二の場」として再定義した画期的な発想がありました。
転用の条件として「地域への貢献」「市街地以外でも成立する新しい収益モデルの創出」「地球環境への貢献」の三つの視点を掲げ、それらをすべて満たす福祉施設として全国初となるケアファームの建設を計画。この事業理念に深く共感してくださった隣接地の所有者様からも一部土地を購入させていただくことで、広大な農園スペースを設けることが可能になり、建設が実現しました。


入居者が四季折々の野菜を育て、地域の子どもたちと芋ほりイベントを楽しむ等、単なる介護施設ではなく、「人と人、自然と社会をつなぐ場所」として機能しているのです。さらに、建物は省エネ性能認定制度「BELS(ベルス)」を取得し、環境への配慮も徹底されています。
このように、市街化調整区域という“制約”があった中、地域共生という“価値”のある場所に変えたという点が、ココファンガーデン新潟亀田の成功の理由だと言えるでしょう。
福祉施設づくりにおける「地域共生型」土地活用のヒント
ココファンガーデン新潟亀田の事例が示すのは、「土地をどう使うか」ではなく「誰のために使うか」という発想の重要性です。
特に、福祉施設は単なる建物ではなく、地域社会と共に成長する存在だと言えます。だからこそ、地域との関係づくりを前提に土地を活かすことが、結果的に事業の安定にもつながるのです。
では、実際にどのような考え方で土地活用を進めていけばよいのでしょうか。ここでは三つのヒントを紹介します。
・
土地の制約がある場所ほど、行政や地域との連携が鍵になります。
たとえば、市街化調整区域では「地域福祉への貢献」が明確であれば、用途変更の協議が前向きに進むケースもあります。
また、自治体の福祉課や都市計画課と早期に対話を始めることで、行政側から活用提案や支援制度の情報を得られる場合もあります。
地域との協働を意識することで、施設が“地域課題の解決策”として受け入れられる可能性が高まります。
・
今後、福祉施設に求められるのは「快適さ」と同時に「持続可能性」です。
脱炭素や自然共生を意識した設計は、入居者の安心感を高めるだけでなく、補助金制度や自治体評価の対象にもなります。
ココファンガーデン新潟亀田が取得したBELS認定のように、環境性能の高さは施設のブランド価値にも直結します。
また、庭園や農園などの緑地を取り入れることは、利用者のリハビリやコミュニティ活動にもつながり、「暮らしと自然がつながる場所づくり」を実現できます。
・
建設会社は、土地の制限や法的条件に精通しています。
地域の実情や制度を理解した建設パートナーと協力すれば、事業者自身では見落としがちな土地のポテンシャルを発見できる可能性があります。
福祉施設の土地探しは、単に場所を選ぶ作業ではなく、課題を一緒に解いていくプロセスでもあります。
もし「この土地で本当にできる?」と迷うことがあれば、専門的な視点を持つ建設会社に意見を聞いてみるのも一つの方法です。
当社でも、そうしたご相談を日々お受けしながら、地域に根ざした土地活用の可能性を一緒に考えています。
まとめ:土地の制約を超え、地域に喜ばれる福祉施設づくりへ

福祉施設を新たに開設しようとするとき、多くの人が「良い土地が無い…」と頭を悩ませます。
しかし実際には、「土地がない」のではなく、「土地の見方が固定されている」だけかもしれません。
ココファンガーデン新潟亀田での成功事例のように、市街化調整区域という制約のある土地であっても、地域への貢献や環境への配慮という明確な目的があれば、道が開けてくることもあります。
そして、その道を一緒に探してくれる建設パートナーがいれば、“使えない土地”を“地域に必要とされる場所”に変えることもできるのです。
土地の条件を超え、地域に喜ばれる福祉の場をつくるためには、「どんな土地に建てるか」よりも、「どんな未来をつくりたいか」を考えることから始めるべきでしょう。その想いが明確になったとき、あなたにとって最適な土地が、きっと見えてくるはずです。
もし今、土地のことで一歩を踏み出せないと感じているなら、ぜひ一度私たちにご相談ください。
地域に根ざした視点から、あなたの事業に合った土地活用の可能性をご提案いたします。
・
📝無料相談会のご案内
長年、高齢者施設・障がい者施設を建設してきたコンサルタントが、「実現可能なプラン」と「次に取るべき具体的な一手」を明確にご提案いたします。
「建設時期は未定だけど話だけ聞いてみたい」という方も大歓迎です!
